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ピョンの部屋

「そのさとの近くに果樹園とヤギの飼育をしている人(ヤギの田中さん)がいて、ヤギはレンタルもできるみたいだから、アニマルセラピーに1度レンタルしてみようか!!」
ピョンを迎えるきかっけはそんな単純なことだったと思います。
誰もヤギの飼育をしたこともなければ知識もないのに、不安に思うことすら忘れて勢いで即決。
ヤギといえば「アルプスの少女ハイジ」のユキちゃん。みんな白い子ヤギが来るのを楽しみに待っていました。でも、2018年7月、田中さんに連れられてやってきたのは茶色の見たこともないような柄のヤギ、ピョンでした。

そのさとに来た日のピョン

始めこそみんな、「こんなのヤギじゃない!ユキちゃんじゃない!」、「…(絶句)。」
などいろいろ言っていましたが、ピョンはとっても大人しくて人懐っこくて、いつの間にかすっかりそのさとのアイドルになりました。

食欲も増して、お腹もどんどん大きくなっていきました。草だけで赤ちゃんが育つ
なんてすごいなぁ。
3月の下旬になるとお腹の中で赤ちゃんが動いているのが分かるようになりました。

平成31年4月2日、前日から雪が舞う寒い日でした。朝から落ち着きなく立ったり座ったり、ソワソワしているピョン。お昼ごろにはおしるしが見られました。
14時過ぎには産気づき始め、そして破水!連絡を受けて田中さんも駆け付けてくれました。入居さんや職員もぞくぞくと集まり、みんなでピョンの応援が始まりました。

👈頑張るピョンと見守るみなさん

陣痛が始まってから約1時間。
15時40分ついに1匹の男の子が誕生しました!
出産直後は放心状態で赤ちゃんを全く舐めようとしないピョン。
田中さんが目の前まで持っていくと、やっとペロペロしてくれました。
それにしても白ヤギが産まれてみんなビックリ( ゚Д゚)でした。

赤ちゃんの名前は入居者さん、ご家族様、そのさとに出入りしている方皆さんに声を掛けて「赤ちゃんの名前総選挙」を開催し投票で決めました。ちなみに、ピョンは『平昌オリンピック開催中に産まれたので』平(ピョン)と田中さんが名付けたそうです。

投票の結果赤ちゃんの名前は平成最後の年に生まれたことと、平(ピョン)ノジをもらい、平太(ペータ)となりました。

ペータはとても元気でヤンチャで、飛んだり跳ねたりピョンに乗ったり!ピョンはそんなペータの側を片時も離れず母の顔。そのさとに来てからずっと1人で寂しかったピョンも子育てに大忙しになりました。

生まれて1年も経つと、ペータはピョンよりも大きくなりました。でも相変わらずの甘えん坊。普通は3ヶ月もすれば乳離れするはずか、いつまでたってもペータは乳離れしません。「大丈夫かな?冬彦さんみたいになるんじゃないの!」とみんなで心配したものです。

令和3年1月8日、朝からペータの様子がおかしいのです。ごはんも食べず、1人離れたところで過ごしています。体を触られることを嫌がり、変な声を出しています。
翌日になっても様子が変わらないので、田中さんを通じて獣医さんを紹介してもらい、往診してもらいました。

「これはおしっこが出せなくなっているね。去勢したオスはなりやすいんだよ。でも、オスの尿道はとっても細いから治療がね…。」
検査もしてもらいましたが、ペータの状態は悪く治療方法がないとのことでした。

それから2日間、須坂市と長野市の動物病院に端から連絡し、ペータを診てくれるところがないか探しました。ですが、ヤギを診てくれるところは見つかりませんでした。
その2日間もペータはおしっこが出なくて辛そうでした。私たち人間の気持ちの整理に付き合わせてしまったのかもしれません。

令和3年1月11日。ペータは空に帰って行きました。
1歳9か月という短いヤギ生した。ペータは幸せだった?楽しかった?もっとピョンに甘えていたかったよね。ごめんね。
とってもヤンチャで、とっても甘えん坊な愛すべきペータ。そのさとに来てくれて本当にありがとう!!大好きだよ!!

ひとりぼっちになってしまってからというもの、ピョンはとても寂しそうでした。見ているのがつらいほどでした。
ヤギは群れで暮らす生き物です。このままひとりぼっちにはしておけません。ピョンの今後を職員みんなで話しました。田中さんのところに戻って沢山のヤギと一緒に暮らすのがピョンの幸せなのか、いろいろと考えました。

私たちの出した答えは、「ピョンにまた赤ちゃんを産んでもらって、賑やかに元気にそのさとで暮らしてもらう。」でした。
「ピョンはもうそのさとの一員。」、「中庭にピョンがいないと寂しい。」みんなが口々にそう言ってくれました。

そうと決まれば!!再び発情の合図と共に田中さんのところに向かいます💛
今回は1回目でばっちり👍出産予定日は6月30日です!!

👈大きなお腹。パンパンです

予定日より2日早い6月28日の朝。ピョンが産気づき始めました。今回も苦しそうに声を上げるピョン。職員も入居者さんも心配しながら励まし続けます!

👈出産当日の様子

みんなの応援のなか無事誕生しました! 2匹の女の子です!! 
先に産まれたお姉ちゃんの方はとても弱々しく、立ち上がっても直ぐに転んでしまい、お乳もなかなか吸えない様子です。一方の妹ちゃんはしっかりと立ち上がり、ピョンのお乳を勢いよく飲んでいます。
2匹ともお父さんゆずりの白黒ですが、顔や頭の模様はピョンにそっくりです(^▽^)

ピョンは赤ちゃんを一匹一匹キレイに舐め、後産も全部きれいに食べてしまいました。
調べてみると草食動物が後産を食べるのは、肉食動物に察知されて襲われる危険を避けるため、また滋養強壮のためということでした。
いつもなら土が付いたものは一切食べないピョンなのに… 本能ってすごいなぁとつくづく感心するのでした。

日を追うごとに赤ちゃんは元気になり、そこらじゅうを駆け回るようになりました。2匹の側を片時も離れないピョンですが、姉妹の元気っぷりにてんてこ舞いの様子です。
出産後しばらくは弱々しくて心配したお姉ちゃんの方も次第に元気になり、みんな一安心です。

今回も赤ちゃんの名前は、入居者さん、職員から案を募って「赤ちゃんの名前総選挙」で決定しました。

姉:ピンクのバンダナ
命名「ジュン」6月に産まれたから

妹:黄色のバンダナ
命名「メイ」メイメイ鳴くから

3頭でくっついて寝たり、草を食べたり、可愛い声でジュンやメイが鳴くとピョンが急いで駆け寄ったり。
そんな様子を見ていると、本当に嬉しくなります。ピョンおめでとう!よかったね💛